ニュースや新聞で「有効求人倍率は1.26倍でした」といった言葉を耳にすることがありますよね。なんとなく「景気が良いか悪いか」の目安になるのは分かっても、具体的に「求人倍率って何?」と思っている方もいるかもしれません。
この「求人倍率」は、就職や転職活動をする上で、今の労働市場がどんな状況にあるのかを教えてくれる、とても大切な数字なんです。今回は、求人倍率が何を意味するのか、そして種類ごとの違いを分かりやすく解説していきます。
※2025年3月の有効求人倍率は1.26倍です。
求人倍率とは?
求人倍率とは、簡単に言うと「求職者1人に対して、求人が何件あるか」を示す数字です。
この数字を見ることで、今の世の中が「人手が足りなくて仕事が多い時期なのか」それとも「仕事を探している人が多くて仕事が少ない時期なのか」が分かります。
計算方法
求人倍率は、次のシンプルな計算式で求められます。
求人倍率 = 求人数 ÷ 求職者数
- 例1:求人が200件、求職者が100人の場合200件 ÷ 100人 = 2.0倍→ 求職者1人に対して、2件の求人がある「売り手市場(求職者に有利)」の状態です。
- 例2:求人が50件、求職者が100人の場合50件 ÷ 100人 = 0.5倍→ 求職者1人に対して、求人が0.5件しかない「買い手市場(企業に有利)」の状態です。
この数字が「1倍」を超えると、求職者よりも求人数の方が多い状態なので、仕事を見つけやすい時期だと言えます。逆に「1倍」を下回ると、求職者の方が多い状態なので、仕事を見つけるのが難しい時期だと考えられます。
2種類の求人倍率:有効求人倍率と新規求人倍率
求人倍率には、主に「有効求人倍率」と「新規求人倍率」の2種類があります。どちらも厚生労働省がハローワーク(公共職業安定所)のデータをもとに毎月発表していますが、それぞれ少し意味合いが違います。
1. 有効求人倍率(ゆうこうきゅうじんばいりつ)
- 意味: 前月から持ち越された求人や求職者も含めて、その月に「有効」な求人数と求職者数の割合です。
- 対象: ハローワークに登録されている、申し込みから3ヶ月間が有効な求人・求職が対象です。
- 特徴:
- 労働市場全体の需給バランス: 比較的長い期間の雇用情勢や、労働市場全体の状況を把握するのに適しています。景気の動きとほぼ同じように動くと言われています。
- 安定した傾向: 新規求人倍率に比べて、大きな変動が少なく、安定した推移を示します。
2. 新規求人倍率(しんききゅうじんばいりつ)
- 意味: その月にハローワークが新たに受け付けた求人数と求職者数の割合です。
- 対象: その月の新規の求人・求職のみが対象です。
- 特徴:
- 景気の先行指標: 新しく動き始めた求人・求職の状況を反映するため、有効求人倍率よりも、より直近の景気や雇用状況の変化を素早く捉えることができます。景気が上向き始めると新規求人が増える傾向があるため、景気の「先行指標」とも言われます。
- 変動が大きい: 新しい情報のみを反映するため、有効求人倍率よりも数字の変動が大きくなることがあります。
求人倍率から何がわかる?
求人倍率の数字を見ることで、次のようなことが分かります。
- 雇用情勢の良し悪し: 倍率が高いほど「仕事を見つけやすい」、低いほど「見つけにくい」という傾向。
- 景気の動向: 求人倍率が高い時は企業の採用意欲も高く、景気が良い傾向にあります。逆に低い時は、企業が採用を控えるため、景気が良くない傾向にあります。
- 地域や職種ごとの状況: 全国の平均だけでなく、地域別や職種別に求人倍率が発表されていることもあります。これにより、あなたが希望するエリアや職種で、どれくらい仕事が見つけやすいかを知るヒントになります。
ただし、これらの求人倍率は、ハローワークに登録されたデータをもとに算出されている点に注意が必要です。民間の転職サイトやエージェントの求人情報は含まれていないため、実際の市場全体の動きとは少し異なる場合もあります。
まとめ:求人倍率を知って、賢く転職活動を進めよう
求人倍率という数字は、今の労働市場の「天気予報」のようなものです。この数字を理解することで、あなたが今、就職・転職活動を進める上で「追い風」なのか「向かい風」なのかを把握できます。
特に、これから就職や転職を考えているなら、希望する地域や職種の求人倍率をチェックしてみてください。それが、あなたの活動を計画的に進めるための大切なヒントになるはずです。
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