「もう何もやる気が出ない」「うまく寝つけない」「毎朝起きるのがつらい」―― 仕事に疲れてしまうと、心も体も重く、視界がぼんやりと霞むように感じることがあります。そんなときは、無理に頑張らず、一度立ち止まって自分をケアすることが大切です。
この記事では、疲れ切ってしまった心と体を少しでもラクにするための方法や考え方をお伝えします。疲れたときに読んで、息を深く吐き、ゆったりとした時間を取り戻してみてください。
1. 「疲れた」と感じたら最初にすべきこと
1-1. まずは“深呼吸”してみる
疲れを感じると、知らず知らずのうちに浅い呼吸になり、交感神経が優位になってしまいます。
- 背筋を伸ばしてゆっくり座る
- 鼻から4秒かけて息を吸い、口から6秒かけてゆっくり吐き出す
- これを3回繰り返すだけで、心拍数が落ち着き脳がリラックスモードに切り替わります。
疲れを感じた瞬間にこの深呼吸を試すと、頭がわずかに軽くなり、「今すぐ何かしなきゃ」という追い詰められた感覚を少し解除できます。
1-2. まずは「何もしない時間」を許す
- SNSもニュースも閉じて、10分だけ何もしない
パソコンやスマホを触らず、ただ目を閉じるか、窓の外をぼんやり眺める。 - 「罪悪感なく何もしていない自分」を受け入れる
仕事に追われていると、「休んでいる場合じゃない…」と自分を責めがちですが、脳や体が休息を求めているサインです。 - 「ただ存在しているだけでいい」と心に言い聞かせる
何も生産性を求めず、自分の呼吸と鼓動を感じるだけで十分リセットの一歩になります。
2. 疲れのサインを見逃さない
2-1. 体が教えてくれるSOS
- 頭痛や肩こりがひどくなる
デスクワークの合間に首や肩がガチガチに固まり、痛みが続くときは要注意。 - 夜、寝つきが悪い・朝すっきり起きられない
スマホやパソコン画面を長時間見たあと、脳が休まらず眠りが浅くなることがあります。 - 食欲不振や過食
ストレスで胃腸の調子が崩れたり、逆に甘いものやジャンクフードに手が伸びすぎたり。 - 集中力の低下やミスが増える
いつもより簡単な仕事でもミスを連発する、同じところを読み返しているうちに時間が過ぎてしまうときは、脳がオーバーヒートしている証拠です。
これらは「限界が近い」というサインなので、見逃さないようにしましょう。無理を続けると、深刻な体調不良やメンタルのダメージにつながります。
2-2. 心が教えてくれるSOS
- 「何をしても楽しく感じない」
好きなはずの趣味が苦痛に感じられ、このまま続けていいのか不安に襲われる。 - 焦燥感・将来への不安が増す
ちょっとしたことで「どうせ自分なんて…」とネガティブ思考が止まらない。 - 人と会うのが億劫になる
誰かと話すだけで疲労感が増し、一人で閉じこもりたくなる。 - 無力感に襲われる
自分の存在が無意味に思え、人に迷惑をかけたくない気持ちから何も言えなくなる。
「心が疲れている」と感じたら、誰にも相談せずに抱え込まないことが重要です。信頼できる友人や家族、あるいは専門家に相談しましょう。
3. すぐできるセルフケア3選
3-1. 軽いストレッチで血流を促す
長時間同じ姿勢を続けると筋肉がこわばり、血流が滞ります。軽いストレッチを取り入れるだけで、体が一気にリラックスモードに切り替わります。
- 首と肩のほぐし:
- 両肩をすくめて「1・2・3」と大きく上げ、ストンと一気に落とす(×3回)
- 首をゆっくり左右・前後に倒し、10秒ずつキープ
- 背中と胸のストレッチ:
- 両手を背中の後ろで組み、肩甲骨を寄せながら胸を前に突き出す
- 座ったままでも立った状態でもできるので、1分程度ゆっくり呼吸をしながら伸ばす
これだけで肩の重さが和らぎ、頭もすっきりします。無理せず痛みがない範囲で取り組んでください。
3-2. リラックスできる音楽をかける
- 自然音やゆったりしたインスト曲
小川のせせらぎ、森の虫の声、さざ波の音など、自然を感じられる音は自律神経を整え、心拍を落ち着かせる効果があります。 - お気に入りのヒーリングミュージックやピアノ曲
仕事中にずっと緊張していた脳を「美しい音色」で癒すと、気づけば雑念が薄れ、深いリラックス状態に入れます。 - 音量は小さめ、ヘッドホンやイヤホンで
外の雑音を遮断しつつも、鳴っている音楽に身を委ねることで、集中して癒し効果を享受できます。
3-3. 10分間の“デジタルデトックス”
- スマホ・パソコンの画面を完全にオフにする
仕事の通知、ニュース、SNSの情報…どれも無意識に脳を休ませない刺激になります。 - 部屋の電気を暗めにして、自然光が入る場所で過ごす
目から入る光を抑えてゆったりと過ごせば、心拍がゆるやかに落ち着き、眼精疲労も軽減します。 - そのまま目を閉じて、体の感覚に意識を向ける
深呼吸をしながら「今、自分の体がどんな感覚か」を内観するだけで、ストレスレベルが30~50%下がることもあります。
4. 長期的に疲れにくい習慣をつくる
4-1. 1日5分だけでも「振り返りノート」を書く
- その日の“良かったこと”を3つ書く
例:「今日は同僚に感謝された」「美味しいランチを食べた」「短い散歩でリフレッシュできた」
→ “ポジティブな出来事”に目を向けることで、脳がネガティブフィルターから解放され、幸福度が上がります。 - “ツラかったこと”も1つ書き、改善策を考える
例:「会議で意見がうまく伝わらず落ち込んだ→次回は事前に資料を整理しておこう」
→ たった数分でも頭の中を整理する習慣をつくると、ストレスがたまりにくくなります。
4-2. 1日1回は「完全に仕事から離れる時間」を確保する
- 退勤後はスマホやPCを極力触らない
仕事用のメールやチャットアプリが職場から離れても通知されると、常に緊張状態が続いてしまいます。 - 趣味や家族・友人との会話を楽しむ
好きな音楽を聴く、本を読む、映画を観る、散歩に出かける…どんなことでも構いません。仕事と全く関係のない時間を持つことで、脳が「オフモード」に切り替わり、効率的にリフレッシュできます。
4-3. 適度な運動を習慣化する
- 通勤に少し遠回りして歩く、エレベーターではなく階段を使うなど、隙間時間に体を動かす
- 週に2~3回、ジョギングやヨガ、ストレッチを15~30分取り入れる
→ 運動すると脳内でセロトニンやエンドルフィンという「幸せホルモン」が分泌され、ストレス耐性がアップ。 - ジムやスポーツクラブに行く余裕がなくても大丈夫
自宅でできる筋トレやストレッチ、YouTubeで配信されている5分~10分の簡単エクササイズでも効果は十分です。
5. 「心の疲れ」はひとりで抱え込まない
5-1. 信頼できる人に悩みを話してみる
- 友人や家族
仕事の愚痴や不安を吐き出すだけで、心は軽くなります。共感してもらうこと自体に癒し効果があります。 - 同僚や先輩
職場で同じような悩みを抱えている人は少なくありません。率直に話してみると、「自分だけじゃなかった」と気づき、安心感が得られます。
5-2. 必要に応じて専門家に相談する
- メンタルヘルスのカウンセラーや心療内科にも早めに相談を
「まだ大丈夫」と思っていても、心が限界に近いときは自分では気づきにくく、気づいたときには深刻な状態になっていることもあります。 - 社内の産業医などをを活用する
企業によっては産業医面談やカウンセリングを無料で受けられる制度がありますので、遠慮せず利用してみましょう。
6. まとめ:疲れた心と体には“優しさ”を
- 深呼吸と何もしない時間で脳と体をリセットする
- まずは立ち止まり、自分を責めずに「何もしない」を許すことから始める。
- 体のサイン(頭痛・肩こり・寝つきの悪さ)や心のサイン(無力感・焦燥感)を見逃さない
- 無理を続ける前にセルフチェックし、対処を始めることで悪化を防ぐ。
- すぐできるセルフケア(ストレッチ・リラックス音楽・デジタルデトックス)を日常に取り入れる
- 小さな習慣の積み重ねが、大きなリフレッシュ効果を生む。
- 長期的に疲れにくい生活習慣をつくる(日記・完全オフタイム・適度な運動)
- その日・その週のリセットだけでなく、月単位・年単位で心身の健康を維持する視点を持つ。
- ひとりで抱えず、信頼できる人や専門家に相談する
- 誰かに話すだけでも心は軽くなります。必要なら早めに専門家へ。
仕事に疲れたときは、自分を追い詰めずに、まずは“優しさ”を届けること。誰かのためではなく、「自分のために」小さなセルフケアを積み重ねてみてください。ゆっくりでもいいので、また心から笑える日が必ずやってきます。
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