「自分はこれまで何をしているときに一番モチベーションが高かったのか」「なぜ一度やる気が下がってしまったのか」を可視化できるのが、モチベーショングラフです。転職やキャリア選択の際に「なぜこの業界・職種を目指すのか」を納得感をもって説明したり、面接でエピソードを語るときの根拠にしたりできます。
以下では、モチベーショングラフとは何か、作り方、活用方法、書き出すポイントなどを順に解説します。
1. モチベーショングラフとは?
- 定義:人生の時系列で、自分のモチベーションを「高い・低い」といった数値化(自分の尺度で10段階など)し、折れ線グラフの形にしたもの。
- 目的:自分がどの時期に「何をしているときにやる気が上がった/下がったか」、その原因・背景を客観的に振り返るため。
- 活用シーン:
- 自己分析:過去の経験を「いつ」「どこで」「何をしていたとき」にモチベーションが振れたかを整理し、自分の価値観を言語化する。
- 面接・エントリーシート:モチベーショングラフをもとにしたエピソードを話すことで、志望動機や自己PRにリアリティを持たせる。
- キャリア選択:「この業界・職種は自分のモチベーションを維持できるか」「過去の低迷時期を避けるには何が必要か」を検討できる。
以下は、記事冒頭で作成したサンプルグラフです。年齢18歳から30歳までのモチベーション推移を例として示しています(あくまでも例なので、実際にはご自身で数値を決めてください)。
2. モチベーショングラフの作り方
2-1. 必要なものを準備する
- ノートやA4用紙:年齢や年度を横軸に書き込むスペースを確保
- 定規とペン:横軸・縦軸をきれいに書くためにあると便利
- カラーペン(任意):高低の変化を色で強調すると、見返したときにわかりやすい
2-2. 手順
- 横軸に「年齢」または「年度」を設定
- 例:横軸を「18歳」「19歳」…「30歳」と書く
- 転職を意識する場合は、「社会人1年目」「社会人2年目」…と設定してもOK
- 縦軸に「モチベーションレベル」を決める
- 1〜10のように規定し、10を最高に、1を最低にする
- あくまでも自己評価なので「自分がそのときに感じていた主観」を基準にする
- 主要なイベントを書き出す
- 学生時代:高校受験・大学受験・サークル活動・アルバイト etc.
- 社会人:入社・プロジェクト参加・評価・人間関係のトラブル・部署異動 etc.
- それぞれの時期に「Happy?」または「Struggle?」を簡単にメモしておく
- 各時期のモチベーションレベルを数値化する
- イベントごとに「そのときの気持ち」を振り返り、10段階で評価
- 例:18歳=志望校に合格してモチベ9、20歳=サークルの幹部になってモチベ8、22歳=就活失敗でモチベ3 など
- グラフを描く
- 横軸に該当年齢/年度をプロットし、縦軸に先ほどのレベルをプロット
- 点を線で結ぶことで、モチベーションの「山と谷」が見える化される
- グラフに出来事をメモで付記する
- 重要ポイント(モチベが急上昇/急降下した理由)を矢印やメモで記入
- たとえば「アルバイトで昇進」「プロジェクトの失敗で落ち込んだ」など
3. モチベーショングラフを活用する方法
3-1. 自分のパターンを見つける
- モチベーションが上がりやすい要因
- 例:チームで成果を出したとき/新しい知識を学んだとき/自分のアイデアが採用されたとき
- モチベーションが下がりやすい要因
- 例:人間関係のトラブル/評価されなかったとき/ルーティン業務が続いて飽きたとき
→ 上記の要因を振り返り、「自分はチームで動くよりも一人でプロジェクトをリードするほうがやる気が出やすい」といった傾向を見つけられます。
3-2. 転職・キャリア選択に活かす
- 過去の低迷期を避ける
- 例:前職で人間関係が原因でモチベーションが急激に下がった経験があれば、「チームワーク重視の文化」より「少人数で裁量がある環境」を選んだほうがギャップが小さい。
- 将来の目標設定に役立つ
- 例:モチベーションが高かった「新規事業立ち上げ」に近い領域に挑戦したい、といった具体的なキャリアプランを描きやすくなる。
- 面接での説得力がアップ
- 面接官に「モチベーショングラフを作成し、この時期にこの会社に挑戦したいという想いが強まりました」と話すことで、「なぜ今このタイミングで転職を決意したのか」について説得力のあるエピソードを伝えられます。
3-3. 定期的な見直しでアップデートする
- キャリアが進むにつれて、新たな「山&谷」が生まれる
- 2年後、3年後にも同様に振り返り、「現在の自分はどこにいるのか」を可視化することで、軌道修正しやすくなります。
- 目標に対する達成度合いをチェック
- 「5年後にマネジメント職に就きたい」という目標があれば、達成に近づいているかどうかをモチベーショングラフに反映していきましょう。
4. 実際に書き出すときのコツ
4-1. 過去の経験を「小さなエピソード」で書き出す
- 「大学でサークルのリーダーを務めて人をまとめる楽しさを感じた」「営業でクライアント向け提案をして感謝された」といった具体的な出来事を短くメモ。
- 出来事を書き出すことで、モチベーションレベルを数値化しやすくなります。
4-2. 正直に「落ち込んだ理由」も書く
- 辛い経験ほど書きたくないですが、谷の理由を隠さず記入すると、「自分が何に弱いか」「どう対策すべきか」がクリアになります。
- 例:「上司との相性が合わず、モチベーションが3に急降下→原因:コミュニケーション不足だった」など。
4-3. グラフは見た目より振り返りが目的
- 最初は手書きで十分。定規を使って線だけでもOK。後でスマホで撮影しておけば、いつでも見返せます。
- 大事なのは「自分がどこで何を感じたか」を振り返ること。グラフはあくまでも補助的なツールです。
5. まとめ:モチベーショングラフで自分を“知る”
- モチベーショングラフとは:年齢や年度ごとに自分のモチベーションレベルをプロットし、過去の山と谷を可視化する手法。
- 作り方のポイント:
- 横軸に年齢または年度、縦軸にモチベーションレベル(1〜10)を設定
- 自分の経験を時系列で振り返り、それぞれ数値化してプロット
- 山や谷の理由をメモで付記する
- 活用方法:
- 自分のモチベーションが上がる/下がる要因を把握し、今後のキャリア選択に活かす
- 面接やESで「なぜこの業界を選んだか」を説得力をもって伝える材料にする
- 定期的にアップデートして、自分の成長や課題を見える化し続ける
- 書き出すときのコツ:小さなエピソードを正直に書き、振り返りが最重要。グラフはあくまでもツール。
まずは、この記事の例グラフを参考に、自分のモチベーションを紙に書き出してみましょう。自分の“やる気の波”を把握することで、次に何を学び、どこに挑戦するかが明確になります。転職やキャリア形成の最初の一歩として、ぜひモチベーショングラフを試してみてください。
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