「昔の営業は根性で契約を取ってきたものだ」
「とにかく足で稼いで、顧客のところに通い詰めるのが大事だ」
こんな言葉を耳にして、「営業職って、なんだか大変そう…」と感じたことはありませんか? 確かに、かつての営業スタイルは、現代とは大きく異なる部分がありました。しかし、今も昔と同じような営業をしているかというと、実はそうではありません。
現代の営業職は、情報社会やテクノロジーの進化に合わせて、そのあり方を大きく変えています。
今回は、「昔の営業」と「今の営業」の具体的な違いを比較しながら、時代とともに進化した営業職のリアルな姿をご紹介します。
1. 昔の営業スタイル:御用聞きと「気合」の時代
高度経済成長期からバブル期にかけての「昔の営業」は、主に以下のような特徴がありました。
- スタイル:
- 「御用聞き」営業: 顧客を定期的に訪問し、商品の在庫確認や世間話を通じて、注文をもらうことが中心でした。
- 「足で稼ぐ」営業: 飛び込み営業やテレアポをひたすら繰り返し、とにかく多くの顧客に会い、名刺交換をすることが重要視されました。
- 顧客との関係性:
- 「売り手市場」: 良いものを作れば売れる時代。顧客は選択肢が少なく、営業の役割は「いかに商品を売り込むか」が中心でした。
- 「人柄」と「情熱」: 営業担当者個人の熱意や人柄で、取引先の担当者との信頼関係を築くことが大切でした。
- 求められたスキル:
- 根性・体力: 断られてもへこたれない精神力や、一日中動き回る体力。
- コミュニケーション能力: 顧客と仲良くなり、世間話からニーズを引き出す力。
2. 今の営業スタイル:課題解決と「戦略」の時代
インターネットの普及と多様な価値観が浸透した現代の「今の営業」は、その仕事の進め方や求められるスキルが大きく変化しています。
- スタイル:
- 「課題解決型(ソリューション)営業」: 顧客の抱える潜在的な課題をヒアリングし、その解決策として最適な商品やサービスを提案するスタイルが主流です。
- 「戦略的なアプローチ」: 闇雲に訪問するのではなく、顧客のニーズや企業の状況を事前に分析し、最適なタイミングで、最適な情報を提供する戦略性が求められます。
- 顧客との関係性:
- 「買い手市場」: 顧客は自分で情報を集め、多くの商品やサービスを比較検討できます。営業担当者は、「プロのコンサルタント」として顧客の課題に寄り添うことが重要です。
- 「パートナー」としての信頼関係: 一度きりの取引ではなく、長期的に顧客の成長を支援する「パートナー」としての信頼関係を築くことが大切です。
- 求められるスキル:
- ヒアリング力: 顧客の本当の悩みやニーズを深く引き出す力。
- 論理的思考力: 顧客の課題に対し、なぜこの商品が最適なのか、どんなメリットがあるのかを論理的に説明する力。
- 情報分析力: 顧客や市場のデータを分析し、戦略を立てる力。
- プレゼンテーション能力: 顧客に響く提案資料を作成し、分かりやすく伝える力。
3. 現代の営業が「無理強い」をしない理由
「昔の営業は無理強いをする」という話の背景には、時代の変化があります。
- 顧客の賢さ: インターネットで情報が溢れる今、無理なセールスはすぐに嘘だと見抜かれ、顧客からの信用を失います。
- 長期的な関係の重要性: 現代は、一度きりの取引ではなく、リピートや継続利用が企業の成長に不可欠です。無理強いで得た契約は、後でトラブルや解約に繋がりやすく、長期的な関係を阻害します。
- 共感と共創: 顧客の課題に共感し、一緒に解決策を考えていく「共創」の姿勢が求められるようになりました。
まとめ:営業は「時代とともに進化する」プロフェッショナル
「昔の営業」と「今の営業」は、全く異なる仕事のように見えるかもしれません。しかし、どちらも「顧客との関係を築き、会社の売上に貢献する」という本質は変わりません。
ただ、その「やり方」が、時代に合わせて大きく進化しました。
現代の営業職は、ただ商品を売るだけでなく、顧客の課題を解決するプロフェッショナルです。もしあなたが営業職に興味があるなら、古いイメージに惑わされず、変化に対応する柔軟な姿勢と、顧客に寄り添う力を武器に、この仕事の面白さに挑戦してみてください。