朝、スマートフォンのアラームが鳴る。その振動音が頭の奥に響くたびに、胃のあたりがギュッと締め付けられるような痛みに襲われる。布団から起き上がるのが、まるで鉛を引きずっているかのように重い。満員電車の揺れに身を任せながら、スマートフォンの画面に目をやるものの、文字が滑って全く頭に入ってこない。ただ漠然と、「このまま電車が止まってくれればいいのに」とか、「今日だけ会社が消えてなくなってくれないだろうか」といった現実味のない妄想が頭をよぎる。
そんな重苦しい気持ちでデスクに着き、パソコンを開く。その瞬間から、あなたの心は常に張り詰めた状態になります。なぜなら、今日もまた「あの上司」からの言葉の刃が待っていると知っているからです。
「君、このデータを選択した根拠は何? なぜ事前にこのリスクを想定しなかったの? 論理的に説明してほしいんだけど」
淡々と、そして一切の感情を排した声で突きつけられる質問の数々。上司の言っていることは、一言一句すべてが正しい。ぐうの音も出ないほどの正論。だからこそ、あなたは何も言い返すことができません。「すみません、私の確認不足でした」「今後はもっと論理的に考えます」と、頭を下げることしかできない。そして心の中で、「上司の言う通りだ。自分が未熟で、仕事ができなくて、頭が悪いからこんな風に怒られるんだ。もっと頑張らなきゃいけないのに、会社に行きたくないなんて甘えている」と、自分自身を激しく責め立ててしまう。
しかし、ここで立ち止まって考えてみてほしいのです。本当に、悪いのはあなただけなのでしょうか。
「正しさ」という免罪符を掲げた暴力
世の中には、「正しければ、何を言ってもいい」と勘違いしている大人があまりにも多すぎます。ビジネスの場において論理的であることは確かに重要です。しかし、どれほど内容が正しくとも、受け手の心や状況を一切無視し、逃げ場をなくすまで追い詰めるコミュニケーションは、指導でもなんでもありません。それは単なる「正論という名の暴力」です。
想像してみてください。もしあなたが道端で倒れている人に遭遇したとして、「なぜ倒れているのですか? 起き上がらない根拠は何ですか? 効率的に歩く計画は立てていましたか?」と論理的に問い詰めるでしょうか。まずは「大丈夫ですか?」と声をかけ、手を差し伸べるのが人間としての当然の振る舞いのはずです。しかし、オフィスという閉ざされた空間に入った途端、この当たり前の思いやりが消え去り、むき出しの論理だけで相手をめった刺しにする現象が日常茶飯事となっています。
正論で追い詰める上司は、表向きは「君の成長のため」「仕事のクオリティを上げるため」という大義名分を掲げています。しかし、その本質は極めて暴力的です。なぜなら正論は「反論を一切許さない」という究極の盾だからです。自分が絶対に安全な場所に立ち、正しい武器を持って、言い返せない部下を一方的に殴る。それは指導ではなく、歪んだ自己満足であり、支配欲の裏返しに他なりません。
ロジックで殴られることで麻痺していく心
スマートフォンで新しいゲームを始めたとき、チュートリアルもなしにいきなり超難関ステージに放り出され、少しでも操作を間違えると「なぜそのボタンを押した? 意味が分からない」とエラーメッセージが連発されたら、誰だってそのゲームをアンインストールしたくなるでしょう。今のあなたが置かれている環境は、まさにそのバグだらけのゲームの中にいるようなものです。
毎日正論で殴られ続けていると、人間の心は徐々に自己防衛のために「感情を麻痺させる」という選択をします。上司に怒られている最中、自分の心がすり減るのを防ぐために、まるで幽体離脱したかのように自分を客観視し、ただ時が過ぎるのを待つ。そんな経験はありませんか。その麻痺は、心がこれ以上傷つかないようにするための緊急シェルターのようなものです。しかし、そのシェルターに長くこもりすぎると、自分が本当は何を感じていて、どうしたいのかという「自分の人生の主導権」まで見失ってしまいます。
「正論を言われると苦しい」と感じるその心は、決して甘えや弱さではありません。あなたの心が「これ以上ここにいたら本当に壊れてしまうよ」と必死に叫んでいる、極めて正常なSOSのアラートなのです。そのアラートを無視して、「自分が変わらなきゃ」「もっと論理的にならなきゃ」と、無理にバグだらけのシステムに適応しようとする必要はまったくありません。
自分をすり減らすシステムから、静かに距離を置く
もう、これ以上あのアラーム音に怯えながら目覚める必要はないんです。
正しいことを言っている上司が、必ずしも「良いリーダー」であるとは限りません。本当に優秀なリーダーは、部下の未熟さをロジックでなじるのではなく、どうすればその未熟さをカバーし、一緒に成長していけるかを一緒に悩んでくれる人です。あなたを追い詰めるだけの環境に、あなたの貴重な20代の時間を捧げる価値があるのかどうか、一度立ち止まって考えてみてください。
もし、あの冷たい正論の嵐の中で息が苦しくなっているなら、その手を離して、もっと温かい場所へ逃げる準備を始めましょう。あなたの尊厳を守りながら、自然体で働ける場所は必ず他にあります。
ユーズキャリアでは、あなたが今抱えている「言葉にできないしんどさ」を丸ごと受け止めます。論理的な説明なんてできなくて構いません。ただ「会社に行くのがつらい」「上司が怖い」というその本音を、私たちに聞かせてください。あなたがあなたらしく呼吸できる未来を、一緒に探していきましょう。

