タイパ至上主義の罠。1分1秒を削る働き方に心が追いつかない

ikari 職場の人間関係

「ミーティングはアジェンダ以外発言禁止」「チャットの返信は5分以内に」「業務時間中の雑談は非効率なので極力控えるように」。あなたの職場では、こうした「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「生産性」の名を借りたルールが横行していませんか。全員がディスプレイを血走った目で睨みつけ、キーボードを叩く乾いた音だけが響くオフィス。ふとため息をつくことすら憚られるような、冷え切った空気。

効率的であることは、ビジネスにおいて正義とされています。しかし、1分1秒の「無駄」すら許さない、まるで工場のアセンブリラインのように人間を動かそうとする環境は、合理性を通り越した「効率化ハラスメント(エフィシェンシー・ハラスメント)」です。そんな環境で息を潜めて働いているうちに、あなたの心から笑顔や心の余裕が消え去ってしまうのは、至極当然のことです。

「ハンドルの遊び」がない車は、一瞬で事故を起こす

車のハンドルには、少し左右に動かしてもタイヤが反応しない「遊び」と呼ばれる隙間が意図的に設計されています。もし、この遊びが一切なく、ハンドルの動きがコンマ1ミリ単位でタイヤに直結していたらどうなるでしょうか。高速道路を走っている最中、くしゃみをしたり、少し手がブレたりしただけで、車は激しく蛇行して大事故を起こしてしまうでしょう。

人間の心や、組織の運営もこれと全く同じです。タイパ至上主義の職場がやっていることは、人間からこの「ハンドルの遊び(心の余白)」を徹底的に削ぎ落とす行為です。少し悩む時間、試行錯誤する時間、同僚と「最近どう?」と他愛もない雑談をする時間。これらの「無駄」に見える隙間こそが、急なトラブルを吸収し、メンタルヘルスを保ち、新しいアイデアを生み出すための重要な「遊び」だったのです。

世界の先進的なテクノロジー企業が集まるシリコンバレーなどの動向を見ても、過度な効率化によってチーム内の「雑談」や「非公式な対話」を排除した結果、社員の帰属意識が低下して離職率が急増し、結果として組織全体の生産性が著しく低下したという失敗事例が数多く報告されています。無駄を一切排除した「完璧に効率的な組織」は、皮肉にも「最も変化に弱く、壊れやすい脆い組織」になってしまうのです。

ロボットの代わりにされる、20代の貴重な時間

スマートフォンの充電残量が常に10%以下の状態で、低電力モードのまま無理やり重いアプリを起動し続けていると、バッテリーの寿命はあっという間に縮んでしまいます。毎日「効率」という鞭で叩かれながら働いているあなたの心は、まさにこの低電力モードのまま限界まで酷使されている状態です。

タイパを極限まで求める会社は、あなたという「人間」を採用したのではなく、安価で文句を言わない「処理マシーン」を求めているにすぎません。そこでは、あなたの個人の感情や、仕事に対する情熱、独自のアイデアなどは「効率を妨げるノイズ」として扱われます。そんな機械の部品のような働き方を続けていると、あなたの脳は考えることを放棄し、指示されたタスクをただこなすだけの「指示待ちロボット」になってしまいます。あなたの最も感受性が豊かで、何でも吸収できる貴重な20代の時間を、そんな魂の抜けた作業に費やすのは、あまりにももったいない機会損失です。

「効率を上げられない自分が未熟なんだ」と自分を責める必要は一切ありません。問題は、人間をロボットのように扱おうとする、その会社の設計そのものがバグっていることなのです。

「余白」を大切にする、体温のある職場で働く

もう、常に時計の秒針を気にしながら、追い立てられるようにキーボードを叩くのはやめにしましょう。

仕事の本質は、1秒でも早くタスクを片付けることではありません。あなたがその仕事を通じて成長し、仲間と喜びを分かち合い、顧客に価値を届けるプロセスを楽しむことのはずです。非効率に見える「試行錯誤」や「雑談」を大切にし、お互いに体温を感じながら仕事を進められる、そんな当たり前の人間らしさが許される職場は、必ず存在します。

もし今の職場で、「効率的であれ」という無言のプレッシャーに息が詰まりそうなら、あなたの心の安全のために、もっと余白のある環境へエスケープする準備を始めませんか。余白があるからこそ、人はクリエイティブになれ、他人を思いやる余裕が生まれるのです。

ユーズキャリアでは、あなたがこれまでに感じてきた「せかせかした息苦しさ」を受け止め、もっとあなたらしく、マイペースに、けれど着実に成長していける環境への転職をサポートします。業務スピードの数字だけではない、あなたの「人間的な魅力や仕事へのスタンス」を高く評価してくれる会社を、私たちは数多く知っています。まずは、あなたの張り詰めた肩の力を抜いて、私たちのカウンセリングシートにあなたの本当の気持ちを書き出してみてください。あなたの心の余裕を取り戻す旅を、一緒に始めましょう。

投稿者
この記事を書いた人
千野 謙人

ユーズ株式会社所属
キャリアアドバイザー

2013年建設業界のセールスコンサルタントとして就職。地図に残る大きな仕事、たくさんのお客様との繋がりを持てることにやりがいを感じながら、第一線で働く。順調に売上を伸ばし、役職にもつく。
今後のキャリアについて自分も悩み、自分以外も今後のキャリアに悩んでいる人たちが数多くいることを実感し、ユーズ株式会社を創業。
20代若手キャリア形成を強みとし、キャリアアドバイザーとして努める

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