馬車馬のごとく働く時期は必要? キャリアにおける「戦略的集中」の考え方

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「馬車馬のように働く時期は、人生で一度は必要だ」

「若いうちは睡眠時間を削ってでも頑張るべきだ」

キャリアについて考えるとき、そんなハードな働き方を肯定する意見を耳にすることがあります。ワークライフバランス(WLB)が重視される現代において、こうした「馬車馬のように働く時期」は、本当に必要なのでしょうか?

結論から言うと、人生において「戦略的かつ一時的な集中投資」が必要な時期はあります。 ただし、それは目的のない消耗ではなく、明確なゴールと期限を設けた「意味のある期間」であるべきです。


1. なぜ「馬車馬」の時期が存在するのか?

この極端な集中労働が必要になるのは、キャリアの成長のためだけではありません。人生における様々な「生存」や「変革」の局面で必要となります。

局面1:「生存」をかけた危機対応期

会社や事業の存続、あるいは顧客との信頼を守るための緊急事態です。これは、キャリアの成長とは別に、組織の一員としての責任が問われる局面です。

  • 具体的な状況: 会社が倒産危機に瀕している、システムに致命的な不具合が発生した、大口顧客の納期が絶対に間に合わないなど。
  • 目的: 失敗や損失を最小限に抑え、組織の信用を守り抜くこと
  • 得るもの: 危機管理能力、プレッシャー耐性、そして困難を乗り越えたことによるチームからの絶大な信頼。

局面2:「ゼロからイチ」を生み出す変革・立ち上げ期

新しい事業、プロジェクト、あるいは自分のキャリアをゼロから立ち上げる時期です。これは、最大のエネルギーと時間が必要です。

  • 目的: 誰も作ったことのない仕組みやサービスを形にするため、試行錯誤とインプットを極限まで増やすこと。
  • 得るもの: 短期間で圧倒的な経験値と問題解決能力、そして成功体験。この経験が、後のキャリアの土台を築きます。

局面3:「スキルを身につける」集中学習期

未経験から新しい分野に挑戦する際や、特定の高度な専門資格を取得する際など、集中的なインプットが必要です。

  • 目的: 必要な知識やスキルを、市場で通用するレベルまで一気に引き上げるため。
  • 得るもの: 市場価値の高い専門スキル、そして学習をやり遂げたという強い自己効力感

局面4:「大きなチャンスを掴む」勝負の局面

昇進がかかった重要なプロジェクト、大きな成果が目前にある時などです。

  • 目的: 目の前の成果を確実につかみ取り、キャリアの大きなブレイクスルー(飛躍)を果たすため。
  • 得るもの: 会社や顧客からの絶大な信頼、そして後のキャリアを大きく左右する成功実績。

2. 重要なのは「消耗」ではなく「戦略的集中」

「馬車馬のように働く」ことは、目的のない長時間労働や精神的な消耗を意味してはいけません。大切なのは、それがあなたのキャリアにとって意味のある「戦略的集中」であるかどうかです。

比較項目戦略的集中(賢い馬車馬)単なる消耗(危険な労働)
期間明確な期限(例:3ヶ月間、リリースまで)が設定されている終わりが見えず、常態化している
目的スキル習得、成果獲得など成長がゴール上司の顔色を伺う、非効率な業務の消化
得られるもの市場価値の高いスキル、信頼、昇進、達成感疲労、ストレス、医療費、ネガティブな経験
事後対応終了後に必ず代休や長期休暇など休息のリカバリーがある終わってもすぐに次の業務が始まり、休息がない

「戦略的集中」を成功させるためのルール

  1. 必ず出口を設定する: どんなに忙しい時期でも、「いつまでに」「この成果を出したら終わる」という明確な期限とゴールを設けましょう。
  2. 自己管理を徹底する: 集中している時こそ、睡眠時間の確保や栄養補給を怠らないこと。体が資本であり、倒れてしまっては全てが水の泡です。
  3. リカバリーを計画に組み込む: 頑張った後は、必ずその反動を回復させるための休息期間(代休、休暇など)を事前に計画し、取得しましょう。

まとめ:あなたのキャリアは、あなたがコントロールする

キャリアにおける「馬車馬のように働く時期」は、自分の意思でその期間を選び、その先に得るリターンが明確である場合に限り、非常に有効な「成長への集中投資」となります。

あなたは、誰かに「働かされる」のではなく、「生存や成長のために、戦略的に集中する期間を選んでいる」という意識を持ちましょう。

このメリハリと自己管理こそが、ワークライフバランスを真に実現し、あなたのキャリアを長く力強く支える土台となるでしょう。

この記事を書いた人
この記事を書いた人
千野 謙人

ユーズ株式会社所属
キャリアアドバイザー

2013年建設業界のセールスコンサルタントとして就職。地図に残る大きな仕事、たくさんのお客様との繋がりを持てることにやりがいを感じながら、第一線で働く。順調に売上を伸ばし、役職にもつく。
今後のキャリアについて自分も悩み、自分以外も今後のキャリアに悩んでいる人たちが数多くいることを実感し、ユーズ株式会社を創業。
20代若手キャリア形成を強みとし、キャリアアドバイザーとして努める

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